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安倍政権の改憲動向と道州制・地方創生がもたらすもの 合同研究会による「公開研究会」を開催

国公労連、自治労連と地方自治問題研究機構、自治体問題研究所、行財政総合研究所の3つの研究団体による合同研究会は、3月7日に都内で「安倍政権の改憲動向と道州制・地方創生がもたらすもの」をテーマに公開研究会を開催しました。合同研究会では、安倍政権が5月の連休明けには集団的自衛権行使にむけた法案を提出し、来年7月の参議院選挙直後に憲法の改正に動く意向を明らかにしており、また一方で、「人口減少問題」を口実に「地方創生」と称して、「選択と集中」による広域的な地域の集約化を推し進めようとしている問題を明らかにし、憲法改悪や道州制・地方創生による地方の切り捨てを許さない世論を広げることを目的に「公開研究会」を開催しました。



シンポジウムは、自治労連の松繁美和副中央執行委員長の司会で10時に開会。学習院大学・青井未帆教授、専修大学・晴山一穂教授、龍谷大学・本多滝夫教授、行財政総合研究所・永山利和理事長から報告を受け、会場からの発言を受け、質疑・討論を行う形で進められました。

「改憲動向を踏まえた憲法問題の現状」学習院大学 青井未帆教授

 青井教授は、安倍首相は、来年夏の参院選後に憲法9条改正について賛否を問う国民投票を行う認識を示しており、3つの否法律学的で曖昧な表現(①積極的平和主義、②安保環境の変化、③我が国の存立)を基に改正をねらっている。有事と平時の判断に「存立事態」という理屈を無理矢理加え、防衛出動可能にしようとしている。安保法制懇で検討されているグレーゾーン対処、防衛出動の国会承認と対処基本方針などの矛盾について報告しました。
 質疑討論では、「法律の作り方が内閣主導になってきている」「日本が何をできるのかではなく、国益にかなうことは何でも出来ることが大前提で、どこまでやるかは政治判断で出来るようにするのが狙い」などの意見が交わされました。また「父が戦争に行った経験を話したのは、一回だけ、9条は無謀な戦争の反省の上に出来たもの」との発言に青井教授から「人の知性を信じて、涙と血の上に出来ている歴史を再び繰り返してはいけない。過去の経験を語り、思いを聞くことでしか人は動かない。是非頑張っていただきたい」とのエールが送られました。



「改めて公務員の役割を考える」専修大学 晴山一穂教授

 晴山教授は、憲法15条だけでなく公務員が生まれた歴史や世界の流れから公務員の役割について考えることが大切として報告を行いました。戦前から現代までの「政治権力により支配される公務員〔第1の型〕」が、政治との癒着と腐敗、資本主義社会の複雑化に伴い、専門的な知識を持つ公務員が求められ「独自の役割を認められる公務員〔第2の型〕」が拡がり、日本国憲法に「(公務員は)全体の奉仕者」が明記されてきた歴史的背景を紹介。昨年行われた内閣による幹部人事の一元管理などの公務員制度改革は、公務員の独自の役割を軽視・否定するもので歴史的な流れにも逆行するものであると指摘しました。
 質疑討論では、沖縄総合事務局北部国道事務所の職員が辺野古新基地建設に反対する住民が道路(国道の歩道)にテントなどを設置している状況の指導のために24時間3交代での監視を強要されている実態が報告されました。また、「反対運動の排除に向けた『道路管理者』としての対応を超えた過剰な警戒対応へ多くの職員を動員し県民同士の対立をあおるような行為は、県民の安全・安心を守る役割を担う行政機関として異常な事態。であり、県民の一人でもある職員の思いをも無視して動員される職員は『体調と気持ちが落ち着かない』状態にあると」と開建労が総合事務局へ申し入れ書を提出し、そのことが職員の支えになっている実態や住民の理解に繋がっていることが報告されました。地方自治体でもはじまった人事評価制度における問題、利益団体である民間との官民交流法による問題など活発な討論が交わされました。

「道州制移行の進行状況と地方自治」龍谷大学 本多滝夫教授

 本多教授は、道州制導入論は「平成の合併」によって疲弊した町村を中心とする自治体の抵抗により「岩盤」に阻まれているとした上で、政府は、地方創生による連携中枢都市圏への財政的な優遇措置と連携協約によって自治体を「選択と集中」に誘導し、市町村合併への基盤形成をすることで巧みに道州制導入を進めようとしている状況を報告しました。
こうした状況のもとで持続的発展の可能な地域の形成には、人口減少の問題にしっかり向き合うことが必要。国のナショナルミニマムを遵守させ、地域内再投資力を高め、個々人の生活や生業を成り立たせること。そして、自治体の自主性を喪失させるような安易な「連携協約」は結ばせず、都道府県の役割を空洞化させないような努力を引き続きしていく必要がある。今年の10月までに各自治体が地方版創生総合戦略をつくることになっており、各地域でどの様な動きが進むのか注視が必要と訴えました。
質疑討論では、群馬での市町村アンケートや首長との懇談での中山間地の怒りの声や、中枢都市化をめざし賛成する声など地域により受け止め方にバラツキがある実態、地方分権が進められる一方で従来型の東京での大規模開発が行われている実態、福岡で経済特区や解雇特例など規制緩和が急速に進められている実態、給与制度の総合的見直しで自治体職員の地域手当や通勤手当に人口5万人以上などの条件がつけられ合併しないと処遇が改善できない実態などが参加者から報告されました。

「地方分権・道州制・地方創生・TPPの経済問題」行財政総合研究所 永山利和理事長

 永山理事長は、冒頭でアダムスミスの自由主義にふれ、
「スミスが『岩盤を壊す』と言った対象は、ギルド制や国王の権限の下に経済活動で巨額の利益を吸い取る仕組みである。
資本主義の市場形成における規制や、労働者の団結、アメリカの独立戦争への強い指示をしていた。しかし、新自由主義は、自由の名で国家の規制を取り払い、消費者の自由を制限しようとしている」と新自由主義の本質を明らかにしました。
また、日本の経済が破綻した場合、公務員の賃金30%減、年金30%カット、預金の凍結などが示されているネバダレポートを紹介し、財政危機、物価上昇などを財界・大企業が巧みに操り、資本主義の自立的な経済運営を歪めることで、消費税率の引き上げ、年金や生活保護給付水準の切り下げなどが行われている実態を報告しました。
地方創生については、地域商品券が地域経済に環流しない実態、地域活性化の根拠もない放射光施設の利用促進があげられている姫路市の事例や、小さくても輝く自治体が取り組んできたバイオマスなど環境関連産業の成果を政府が勝手につかっている実態などが紹介されました。
大型店舗が低賃金アルバイトで24時間営業していることが、小規模事業者や家族的営業の経営を破壊し、高齢化や後継者の問題に繋がっている。そういうマクロ的な状況について認識のない者が地域創生やTPP、農業への企業参入などを進めている。今後の地方創生における検討の中で個々の質を守る観点から新しい地域のあり方を提案することが大切であると述べまとめました。
 
 最後に行財政総合研究所理事でもある国公労連笠松書記次長があいさつを行い「本日の報告を職場・地域で活かし、今の状況を打破していこう」とよびかけ締めくくりました。
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